平成30年5月9日 要望書
兵庫県川西市火打2-16-23
国際福祉人権研究財団
氏名
要望の趣旨
まず名古屋地方裁判所の福田千恵子裁判長と最高裁判所の山口厚裁判長に心から感謝の意を伝えて頂きたい。
そして福田千恵子裁判長、山口厚裁判長それぞれの高評価は当然周知して頂くと共に
1、現DV法には、虚偽DVを防ぐ回避策が無策であり、その不備によって様々な弊害があること
2、児童の精神的ダメージの評価見直し
ア、児童の権利条約批准における実務運用の見直し
イ、児童福祉法に基づく児童の権利や福祉、利益を優先にすべき実務運用の見直し
これらの周知徹底を各家庭裁判所や各高等裁判所、最高裁判所家庭局、立法府や内閣府、法務省や外務省の各担当部署に意見して頂きたく、ここに要望します。
要望の事由
親が他方親に同意、了解無く自分の子を誘拐し、売りとばすアジアの国々の実情は非難されるべきであるが、日本もまた親が他方親に同意、了解無く自分の子を誘拐しても誘拐罪にならず、児童の人権についての欠落は、世界から「tier2」という評価を受けており、真摯にその非難は受け入れるべきです。
自分の子どもを他方親に黙って誘拐し、親権や養育費という権利や利益を取引すれば人身取引です。子どもの身柄を無断で拘束して他方親と子の面接を交渉する事は人身取引の性格であるから、親だけではなく子の権利を尊重する為にも面会交流権に移行した(民法766条改正)。しかしながら面接(Interview)、面会(Visitation)、交流(Contact)これらの性格を無視した「写真を監護親から一方的に送る」などといった審判をする実務、家庭裁判所の運用が多く見られます。一方的な写真の送付など親は子の変化を伺い知れても、子が親の変化を伺い知ることが出来ない。子の権利侵害は明らかである。写真の連結は動画であり、ビデオリンクは裁判所でも採用されているが、子とのビデオリンクすら認めないのが現状である。今や、手話などの利用もそうであるがビデオ電話(ビデオリンク)は障害者の為の社会の福祉インフラとしても常識であり社会状況の受け入れるべき大きな変化である。しかし家事審判官が、両親の利益衡量、信頼関係を懸念して、子の心理的抑圧や拘束による依存、子の利益を見ない運用が横行しています。家庭裁判所は、子の利益を親の利益と衡量すべきではなく、何より最優先にすべきであろう。
名古屋地方裁判所のホームページに掲載している所長 伊藤 納様のご意見を伺いました。
「組織の活性化のためには,『よそ者』,『若者』,『ばか者』の存在が大切である」という言葉を知りました。組織の中にいる人には気付かなくなっていることを,「よそ者」ならではの新しい目で気が付いたことを指摘することが組織の活性化のためには大切であり,「若者」はその指摘を受けて柔軟な発想でフットワークよく動き,そして,「ばか者」と言われてでも信念を貫く人がいると,活性化が定着し,長く続いていくということを示す言葉です。
平成30年4月25日の福田千恵子裁判長が出した判決は女権派の団体や政治家から「ばか者」と罵られるかもしれません。そのような圧力を恐れず下した判決は、国民がどれ程勇気を貰ったか計り知れません。グローバルな法曹或いは法律専門家から見ても間違いなど何処にも見当たらない判決と見受けられます。問題の根本にある単独親権制度は、その法治の中で解決を模索せねばならないからこそ悪因悪果が想定出来ても、その中で最良の答えを出さなければならない裁判官には高度な研究が求められてきたのだと思料致します。その悪因悪果が時代錯誤を引き起こし、グローバルな人権コンプライアンスが見逃されて、DV問題が検察や裁判所の運用を歪め続けているのです。
神戸家庭裁判所のホームページに掲載している所長 播磨俊和様のご意見も素晴らしい事が書かれています。
「家庭裁判所は,近年における社会状況の変化や価値観の多様化を受けて,いくつもの課題を抱えており,これに適切に対処することが求められています。」
つまり児童は社会に守られるべき権利を有すると児童福祉法が改正され児童の権利を照らしたが、児童の精神的ダメージは、DV法に基づく女性の精神的ダメージの評価より低いのが現実です。人身保護法による返還時、子を抱きかかえて拒否すれば精神的ダメージがあると報じられているが、先行した連れ去りによる精神的ダメージを全く見ていない。
平成30年3月15日山口厚裁判長は「国を跨ぐ子どもの連れ去り」と公言して頂けました。これはEU26カ国が実子拉致を容認する司法が指摘されたというより日本の現在の潮流を受けての社会状況の変化を受けてと考える方が妥当であろう。「国を跨ぐ」とし「ハーグ条約に批准している国を跨いだ場合」とは、決して公言されませんでした。「ハーグ条約加盟国の国を跨げば連れ去り」であって「ハーグ条約加盟国ではない国を跨げば別居」であるなど不作為が明らかであるし、そもそも現在の日本は、ハーグ条約に加盟している国を跨いだとしても子連れ別居による継続性の優先だけで「児童の拘束による精神的ダメージ」を見なかった裁判所の運用も日本の常識であった。今回「ハーグ条約に批准する国を跨ぐ」という表現が無かったのは、「アジアのハーグ条約に加盟していない諸外国から国を跨いでも」と解する事が出来、この理解が正しければ、子どもを引き離されたアジアの母親たちがどれだけ感謝するでしょうか。つまり国内で起こっている実子拉致問題であっても山口厚裁判長が引用した「連れ去り」という誘拐の性格であって、この判例は今後、様々な問題に当てられ類推されていくことに期待できる後世の子どもたちにすら感謝されるべき判決です。
更に山口厚裁判長は、子どもの意思が依存せざるを得ない拘束環境によるものと、それを自由な意思と認めるに至らなかった事は、繊細に児童の福祉を見て戴けた評価として受け止めています。片親疎外の拘束環境では、監護親に依存せざるを得ない精神状態となる事は誰もが分かる事ですが、それを「不平等」と認めて頂けたことは、当然でありながら日本の司法は見逃してきた事なのです。実子であっても誘拐による被害者の精神的ダメージ、児童への洗脳虐待、つまり心理的抑圧を評価して頂けた事は、児童の福祉に大きく資するものです。
殊更、重要な点は、全ての原因は単独親権がもたらす弊害といえる事です。子どもは両親から愛される幸福追求権が尊重されるべきです。ペットロス症候群で飼い主が鬱になるという周知がある中、グリーフケアの有資格者である私は、実子ロス症候群や実親ロス症候群と造語し引用していますが、単独親権はどちらか一方が引き離せば子どもたちが会いたい母親(父親)に会えないのであって、両親から十分に愛情を受ける児童の権利を侵害し、実親ロス症候群により、疎外症候群の症状は愛着障害やPTSD,ADHDやPASなど引き起こすと、学者が沢山の事例を発表しています。疎外親から見れば、養育費で養育事実を見ても養育の実感など皆無であり、実子に会えない事は実感を喪失し、それは履行の義務感をも喪失していく弊害も引き起こします。シングルペアレントの貧困問題も増加しており、養育費の未払いを防ぐことにもなるのです。現裁判所の運用は、子の福祉や利益に資する福祉や利益に大きく反するのです。
戦後の単独親権は「専業主婦」という文化、つまり「愛する妻は働かずとも、子に寄り添い守られるべき弱者」として文化を作った優しい父親たちによって、その経済力や生活基盤から父性優先とされてきたが、その「専業主婦」は、「子と常に寄り添っている」という、その優しい母親によっても、子の精神的安定を見る事で時代は母子優先と移りゆくことになる。しかし現在、虐待をしている父親であっても、監護協力者と共に連れ去って監護の継続実態を作れば、その生活の安定のみを優先し、親権を得る事が出来る構図が出来上がっているのであって、今の司法の運用は、すでに母子優先を改廃しているのです。その上「継続性の優先」「現状維持の優先」という慣例法が、子の精神的ダメージを蔑にしており児童福祉法や児童虐待防止法が歪められているが、黙認されているのが現状です。虐待を止める他方親を保護責任者の履行とせず、通告義務の履行とせず、面前虐待の加害者として評価する。止めなければ保護責任者遺棄となり明らかに不作為があるが、ならば連れ去りも面前虐待の精神的ダメージを見るべきであり本来、連れ去り後、児童相談所は紛争が治まるまで保護すべき児童虐待の対象とすべきである。しかし、それは家庭裁判所で解決すべきだと児童相談所は児童の精神的ダメージを評価しない。ここにも無策があるのです。
世界では、同意のあるSeparationと同意なきAbductionは、はっきり区別しており、身上監護権奪取であって、実子であっても誘拐罪です。親族相盗例などの性格ではありません。それら誘拐の罪から逃れ、責任回避を目論むことが出来るのは虚偽DVの効力と言えます。DV相談し、相談証明と一方の意見書を鵜呑みにすれば、事実認定権を逸脱しても大きく評価し、制度の目的外使用が横行している現状は認めざるを得ない。自傷行為で証拠をでっち上げても連れ去るケースもある。
世界のDV法と日本のDV法と比べて3つ違いがあり、1つに良い点があります。それは精神的ダメージを評価する事です。保護命令は、精神的ダメージを評価して発令しても、ストーカー法と同じく危険を未然に防ぐ回避であるから非常に良い命令であると考えます。このように精神的ダメージを見ていく重要さを世界に発信していく必要があると考えます。但し、あと2つは悪い点です。1つは真実か、虚偽かを必ず調査する事、そして1つは女性優先ではない事です。
虚偽により拘留された容疑者は22日間拘留され、日本では暴行は国選弁護人も付きません。外部と連絡が取れないまま、会社は解雇され、子どもを失い、人生を失う事もあります。実子ロス症候群によって自殺する方もおられます。つまり保護命令は子の連れ去りを容認する温床となっている事も不作為といえるのです。子は児童相談所がシェルターに保護するべきであり、加害者感情や被害者感情、弁論主義に基づく利益衡量さえもなく、ただ子を紛争に巻き込んでいると断定する。加害者とされる側の権利保護が考慮されず国務請求権を攻撃として評価し、本来の連れ去り加害者が児童の人身を拘束して、利益や権利を請求する人身取引を攻撃と評価せず、権利保護として利益衡量する連れ去り容認司法が正しいはずがありません。
また婚姻分担金は元の生活となるべく同じ環境を作る為という性格が子の福祉優先とするが、ならば面会交流も元の生活となるべく同じ環境を作る為のフレンドリーペアレントルールは採用すべきである。しかし婚姻分担金調停は、履行義務だけ説明し養育費算定表で支払いを早急に決めるが、面会交流調停は故意に長引かせるのである。試行的面会交流で子と疎外親との親和性を見ても、返還の強行を避けるため、監護者が決定するまで決めずに引き延ばす調停員の手法が存在する。単独親権による実質監護者優先、つまり実質支配権をもつ親の権利保護を優先するが、後の裁判にまで、DV法による保護命令で推定有罪の評価が付きまとい、大きく影響する。それが虚偽であっても真実が分からないままだからである。
高齢ともなれば、男性が弱者になる事も多く、自身の育児が子の福祉に資する事になると価値を見出し、活発に育児を取り組む男性も多いのが現実であって、同性愛などの権利すら照らされている価値観の多様化もあり、厳格な父親は少なくなっている社会状況の変化は反映されるべきである。或いは女性が働きに出る男女雇用均等法の中で、育児をしていないからと母親が子どもを引き離されて、子どもが母親に会えない事を当然であると解釈する事も正しい解釈とは言えない。
従って調査官の調査が重要なカギとなるが、疎外親との親和構築は無視して、元の監護環境を調査せず、一方的に実質支配権を持つ親の監護環境のみを大きく評価し擁護して、現状維持が良いとされ問題はないと審判を促すまで作文するのである。これらを見直す事が出来るのは、単独親権を見直すべき事から始まるといえるのです。専業主婦で子を育ててきた今の団塊世代、中高年層が作ったDV法、そして単独親権制度は、今、見直される時期にあるといえよう。
正に福田千恵子裁判長と山口厚裁判長の真実の目で見て頂いた被害者側の無策による児童の人権侵害を、その法の不備として、しっかり見て頂き、福田千恵子裁判長と山口厚裁判長へ感謝の念と子の権利侵害についての周知を徹底すべく担当部署に意見して頂きたい。
以上